
先に結論
- エスプレッソは、イタリアの辞書で「注文した人のためにわざわざ用意する濃いコーヒー」
- 1918年の辞書の説明は「わざわざ作るコーヒー」。英語の辞書は「押し出したコーヒー」と説明する
- クレマは1947年の機械から。家では泡より、粉18gから36gを25〜30秒で出せているかを見る
この記事の前提
デディカ EC685 のような家庭用マシンで、粉18gから36gを25〜30秒で出す基準から淹れている前提で書いています。
目次(6)
「エスプレッソ」と聞くと、急いで淹れる濃いコーヒーを思い浮かべる人が多いと思います。名前の由来と機械の移り変わりを順に追うと、家で淹れた1杯の何を確かめればよいかが分かります。
イタリアの辞書は、エスプレッソを「注文した人のために、わざわざ用意する濃いコーヒー」と説明しています。1918年に初めて辞書に載ったときの説明も「わざわざ作るコーヒー」でした。英語の辞書は「押し出したコーヒー」と説明していて、名前の由来は辞書によって分かれます。
| 出どころ | エスプレッソの説明 | もとの言葉 |
|---|---|---|
| イタリアの辞書(トレッカーニ) | 注文した客のために、わざわざ用意する濃いコーヒー | 英語の express(フランス語の exprès から) |
| 1918年の『現代辞典』 | わざわざ作るコーヒー | un caffè fatto apposta |
| 英語の辞書(Dictionary.com) | 押し出したコーヒー | イタリア語の esprimere(押し出す) |
エスプレッソの名前は、1918年の辞書に初めて載った
イタリアのニュースサイト Il Post は、言葉の由来をまとめた本から espresso の項を紹介しています。この記事によると、espresso という言葉は1918年に、パンツィーニがまとめた『現代辞典(Dizionario moderno)』に初めて載りました。説明は「わざわざ作るコーヒー(un caffè fatto apposta)」でした。
同じ記事は、caffè espresso を「頼まれたら、すぐに用意するコーヒー」と言い表しています。注文が入ってから、その人の分だけを淹れるコーヒーを指す名前です。
料理にも同じ言い方がある
イタリアの辞書トレッカーニによると、食堂でその場で作る料理も piatti espressi と呼びます。作り置きせず、その場で作るものに espresso を付けます。
名前の由来は、辞書によって説明が分かれる
いまのイタリアの辞書トレッカーニは、caffè espresso を「注文した客のためにわざわざ用意する濃いコーヒー」と説明しています。この意味の語源は英語の express とし、さらにフランス語の exprès までたどっています。
英語の辞書 Dictionary.com は、イタリア語の esprimere(押し出す)から来た「押し出したコーヒー」と説明しています。英語では、1940〜45年に初めて記録に出てきます。
イタリア語の espresso は、急行列車(treno espresso)の名前にも使います。トレッカーニは、コーヒーの意味を「速さ」ではなく「わざわざ用意する」の側で説明しています。
2つの説明は、淹れ方の別の面に当たる
エスプレッソは、注文を受けてから1杯分を淹れます。淹れるときは、細かく挽いた粉に圧をかけた湯を通して、成分を押し出します。イタリアの辞書は前の面を、英語の辞書はあとの面を、名前の説明にしています。
ミラノの技術者が、1杯ずつ淹れる機械を作った
Il Post の記事によると、ミラノの技術者ルイジ・ベゼラが1901年に、その場で淹れるのに合う機械を作り、特許を取りました。その特許をデジデリオ・パヴォーニが買い、1905年にラ・パヴォーニという会社を作りました。
パヴォーニは、ミラノのパリーニ通りの工房で、店のカウンターに置く機械を続けて作りました。ラ・パヴォーニによると、最初のバー用の機械の名前は Ideale です。
| 年 | 人 | できごと |
|---|---|---|
| 1901年 | ルイジ・ベゼラ | その場で淹れる機械を作り、特許を取る |
| 1905年 | デジデリオ・パヴォーニ | 特許を買ってラ・パヴォーニを作り、ミラノでカウンター用の機械を続けて作る |
| 1947年 | アキーレ・ガジア | 2つめの特許を出す。8〜10気圧をかけられる最初の機械で、クレマが生まれる |
ガジアは、1938年に蒸気を使わない機械の特許を出し、1947年に2つめの特許を出しました。アメリカのデザイン美術館 MODA の説明では、この機械は8〜10気圧をかけられる最初の機械で、エスプレッソ独特のクレマもこの機械から生まれました。
家では、泡の見た目より重さと時間で確かめる
クレマは、エスプレッソの表面にできる細かい泡の層です。名前が辞書に載った1918年から、およそ30年あとに加わりました。MODA の説明では、ガジアの1947年の機械で、エスプレッソを25〜30秒で淹れられるようになりました。
サイトの「自宅エスプレッソ入門|デロンギ デディカで淹れる本格ラテの作り方」も、粉18gから36gの液を25〜30秒で出す形を基準にしています。デディカ EC685 の付属のフィルターは加圧式で、クレマを増やすしくみが付いています。加圧式は、挽き目や粉の量が多少ずれても、ある程度は抽出できます。泡が出ていても、重さと時間が基準から外れていたら挽き目を直します。
- 粉を18g量ってフィルターに入れます。
- カップをはかりにのせ、36g出るまでの時間を計ります。
- 25秒より速く落ちたら挽き目を1段細かく、30秒より長くかかったら1段粗くします。
- 挽き目を変えたら、同じ18gでもう一度淹れて時間を比べます。
速く落ちて薄いときの直し方は「エスプレッソが薄い・速く落ちるときは、挽き目とタンピングを直す」に書いています。
よくある質問
エスプレッソの名前は、「速い」という意味ですか
イタリア語の espresso には急行列車の意味もあります。コーヒーの意味は、イタリアの辞書トレッカーニでは「注文した客のためにわざわざ用意する濃いコーヒー」です。
クレマが少ないときは、淹れ方を直しますか
泡の量で決める前に、粉18gから36gを25〜30秒で出せているかを確かめます。時間が基準から外れていたら、挽き目を1段ずつ動かします。
最初のエスプレッソの機械は、どこで作られましたか
ミラノです。1901年にルイジ・ベゼラが機械を作って特許を取り、1905年にデジデリオ・パヴォーニがラ・パヴォーニを作って、パリーニ通りの工房でカウンター用の機械を続けて作りました。
参考にした出どころ
- Il Post:Itabolario の espresso(1918)の項(2026-10-30確認)
- Treccani:espresso(Vocabolario on line)(2026-10-30確認)
- Dictionary.com:espresso(2026-10-30確認)
- La Pavoni:History(2026-10-30確認)
- Museum of Design Atlanta(Google Arts & Culture):Passione Italiana: The Art of Espresso(2026-10-30確認)