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エスプレッソは、細かい粉に9気圧で湯を押し通して淹れる

2026.10.31 公開

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先に結論

  1. 細かく押し固めた粉は湯をほとんど通さないので、9気圧前後の圧で押し通します。
  2. ふだんの圧の範囲では、圧を上げても湯の速さは上がり続けず、時間は粉の詰まり方で決まります。
  3. 家では圧を動かさず、挽き目と粉の量で18gから36gを25〜30秒に合わせます。

この記事の前提

デディカ EC685 のような家庭用マシンで、粉18gから36gを25〜30秒で出す基準から淹れている前提で書いています。

目次(7)
  1. 細かい粉の層は、湯をほとんど通さない
  2. 圧を上げても、湯の速さは上がり続けない
  3. 9気圧前後で、泡と香りがそろうという研究がある
  4. 抽出の時間は、規格と研究で幅が分かれる
  5. 家では圧を動かさず、挽き目と粉の量で時間を合わせる
  6. よくある質問
  7. 参考にした研究と公式情報

エスプレッソの説明には、9気圧と25〜30秒という数字がよく出てきます。デディカのようなマシンで淹れていると、なぜその数字なのか、ずれたら何を直すのかで迷います。

エスプレッソは、湯をほとんど通さない細かい粉の層に、9気圧前後の圧で湯を押し通して淹れます。押す圧がそろっていても、湯が抜ける速さは粉の層の詰まり方で決まります。家では圧を動かさず、挽き目と粉の量で25〜30秒に合わせます。

数字出どころ家で動かすもの
9気圧前後規格は8気圧以上。研究は9気圧で泡と香りがそろった動かさない
25〜30秒規格は20〜27秒。デロンギは約25〜30秒挽き目・粉の量
粉18gから36g自宅エスプレッソ入門の基準はかりで量る

細かい粉の層は、湯をほとんど通さない

ハンドドリップでは、湯が自分の重さで粉の層を落ち、基本レシピでは2分30秒で淹れ終えます。エスプレッソの粉はずっと細かく、フィルターの中で押し固めます。粒のすき間がとても小さく、湯を注いだだけでは、湯が粉の上にたまってゆっくり落ちます。

イギリスのバーミンガム大学などの研究(2015年)は、エスプレッソの粉の層の湯の通りやすさを測りました。粉の層の通りやすさが湯の流れる速さを決め、その速さが淹れる時間を決めると述べています。

デロンギは、エスプレッソを「細かく挽いた粉に高い圧で湯を押し通して作る濃いコーヒー」と説明しています。細かい粉から短い時間で成分を出すために、圧で湯を押します。挽き目で溶け出す速さが動く理由は「細かく挽くほど粉の表面積が増え、成分が早く溶け出す」に書きました。

微粉と湯の通り

スイスのチューリッヒ応用科学大学の研究(2024年)では、100µmより小さい微粉が増えると湯の通りが悪くなり、抽出の時間がのびました。エスプレッソの微粉は、おもに湯の通りを通して時間を動かしていました。

圧を上げても、湯の速さは上がり続けない

圧を上げれば湯が速く抜けそうに思えます。ポーランドのワルシャワ大学などの研究(2025年・査読前の論文)は、1〜12気圧で湯の流れを測りました。低い圧では、圧に合わせて流れが増えました。ふだん淹れる圧の範囲では、圧を上げても流れが増えにくくなりました。

研究者は、圧が粉の層を押し縮め、粒のすき間が狭くなるためと説明しています。強く押すほど層が詰まり、湯の通り道が細くなります。抽出の時間は、圧の数字より粉の層の詰まり方で決まります。

  • 低い圧:圧に合わせて流れが増える
  • ふだんの圧:圧を上げても流れが増えにくい
  • 時間を動かすもの:挽き目・粉の量・押し固め方

9気圧前後で、泡と香りがそろうという研究がある

スペインのナバラ大学は2002年に、7・9・11気圧で淹れ比べました。11気圧のエスプレッソは、泡と味の特徴で7気圧と9気圧のものから分かれました。9気圧では泡がそろい、新鮮さや果実、麦芽、バターのような香りの成分の割合が高くなりました。

イタリアのカメリーノ大学の研究(2012年)は、温度と圧を組み合わせて香りの成分と味を調べました。ふだんの機械の設定の92度・9気圧が、いちばん良いエスプレッソの条件にとても近いという結果でした。

イタリアの伝統的なエスプレッソの規格(2018年版)は、抽出の圧を8気圧以上と決めています。ワルシャワ大学の論文は、9気圧という標準が、初期のレバー式の機械で出せた力にさかのぼるとよく言われると書いています。9気圧という数字は昔からの決まりで、研究でも泡と香りの良い結果が出た圧です。

抽出の時間は、規格と研究で幅が分かれる

イタリアの規格は、1杯の粉を7〜9g、カップの量を13〜26g、抽出の時間を20〜27秒としています。デロンギは、押し固めた粉に約25〜30秒で湯を通すと説明しています。自宅エスプレッソ入門の記事では、ダブルで粉18gから36gを25〜30秒で出す基準にしています(自宅エスプレッソ入門|デロンギ デディカで淹れる本格ラテの作り方)。

短い時間を勧める研究もあります。アメリカのオレゴン大学などの研究(2020年)は、粉を20gから15gに減らして粗めに挽くと、25秒かかるところを7〜14秒で淹れても味が保てると発表しました。細かい挽き目では湯の流れがむらになり、毎回の味がそろいにくいという結果でした。

出どころ粉時間
イタリアの規格(2018年)7〜9g20〜27秒
自宅エスプレッソ入門の基準18g(36g出す)25〜30秒
オレゴン大学など(2020年)15g・粗め7〜14秒

25〜30秒は、毎回の味を比べるための目安の幅として使います。時間を決めておくと、挽き目や粉の量を動かしたときに、前の回と比べやすくなります。

家では圧を動かさず、挽き目と粉の量で時間を合わせる

デディカ EC685 は、デロンギの仕様でポンプの圧が15気圧です。圧を手で変える仕組みは無いので、時間は挽き目、粉の量、タンピング(粉を押し固めること)で合わせます。

  1. 粉18gをはかりで量り、36g出るまでの時間を測ります。
  2. 25秒より前に36gに届いたら、挽き目を1段細かくします。
  3. 30秒を過ぎても36gに届かなかったら、挽き目を1段粗くします。
  4. 挽き目を動かしても合わないときに、粉の量やタンピングを見直します。

速く落ちるときの直し方は「エスプレッソが薄い・速く落ちるときは、挽き目とタンピングを直す」にまとめています。細かい挽き目を1段ずつ動かすには、極細の範囲を細かく合わせられるミルを使います(エスプレッソ用のミルは、極細挽きの微調整ができるものを選ぶ)。

エスプレッソ用の電動ミル仕様で比較極細の範囲を1段ずつ動かせるので、抽出の時間を25〜30秒に合わせやすくなります
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よくある質問

デディカは15気圧ですが、9気圧より強く淹れていますか

デロンギの仕様の15気圧は、ポンプの圧の数字です。粉の層の中では、圧を上げても湯の速さが上がり続けないという研究があります。家では圧の数字より、18gから36gが25〜30秒で落ちるかで確かめます。

付属の加圧式フィルターは、圧を足す仕組みですか

加圧式(二重底)のフィルターは、底の小さな穴で湯の出口をしぼり、粉が粗めでも圧がかかるように作られています。挽き目の差が出にくいので、市販の粉でも淹れられます。挽き目で時間を合わせたいときは、非加圧のフィルターに替えます。

30秒より長くかかるときは、どうしますか

挽き目を1段粗くします。それでも長いときは、粉を少し減らすか、タンピングの力を弱めます。1回に動かす数字は1つにします。

7〜14秒で淹れる方法は、家でも使えますか

オレゴン大学などの研究は、15gを粗めに挽いて短く淹れる方法を示しました。家のマシンと豆で同じ味になるかは、自分で比べて確かめます。まず25〜30秒の基準で淹れて、味をそろえてから試します。

参考にした研究と公式情報

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書いている人

自宅の台所で焙煎から淹れるところまでやっています。うまくいった手順だけでなく、外した回数も書きます。器具は自分で買って、しばらく使ってから記事にします。

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